潤活日記

超還爺のサイクルライフ

怪しいくて不思議な聖地

伊豆の相模湾沿いを走る国道135号線で伊豆高原辺りに行くと奇怪な看板や人形が目に付く。キングコングのオブジェや巨大なペンギン像やら「怪しい」とか「まぼろし」とか、通るたびに何じゃこりゃ?と気になっているのは私だけではないでしょう。そこで今回。2022年最初の旅はそれらを一気に見てみようと伊豆の「怪しい少年少女博物館」と「まぼろし博覧会」を訪れてみました。


動画は長いので適当に飛ばしながらご覧頂ければと思います。


まずはいかにもうさん臭そうな「怪しい少年少女博物館」から。



135号線で「伊豆ぐらんぱる公園」を過ぎしばらく進むと交差点の右、外壁に大きな文字で「怪しい少年少女博物館」と書かれた建物と巨大なペンギンのような人形が目に入ってくる。


ネーミングからしてなにやら怪し気であるが、建物の外観からはうかがい知れない。ただ訪れる人は家族連れやカップル、年配のいたって普通の人達で、意外に賑わいを見せている。大人千円のチケットを買い早速中に入ってみると、まず目につくのは50年以上前のミゼット(オート三輪)そしてそこから時代が一気に昭和へとワープしてゆく。無数のマネキン人形やら雑貨、主に戦後の昭和ファッションやカルチャーの移り変わりがなんとなく伝わってくる。世田谷ベースとかオタクのコレクション展示などのイメージでもあるが掲載画像や動画を見ていただくのが一番早いと思います、ひと通り見終わると入館時に券売所で勧められたお化け屋敷を最後に見ることにした。テーマパークのそれと似ているがセンサーが至る所にあり、音・光・そして振動の波状攻撃を受けた。展示物が動いたり風が来たりというだけでなく床が揺れるのには驚いた。怖いか?と問われれば全く怖くはないがそれなりに面白い。 一時間かからずにすべて見終えて出てきたが、昭和の真ん中生まれの私としては懐かしさだけでなく、そこから無数に繋がった自らの軌跡やドラマや風景が浮かび上がってきた。展示されていた「紙芝居」を例に挙げると、子供の頃東京の下町には荷台に木箱を乗せた自転車の「紙芝居屋」が多く存在した。公園や空き地など子供の多く集まる遊び場にやって来ては歌舞伎の始まりのように拍子木を叩く、すると子供たちが集まってくる。そこでおじさんが「鞍馬天狗」「黄金バット」など様々な短編の物語を独特な口調で話し始め子供たちは木箱の上でテンポ良く展開してゆく紙芝居をじっと見つめる。こうして子供を集め一話おわると木箱の引き出しからスモモや梅ジャム煎餅に飴などの駄菓子が次々と出てくる、それを売って商売をしていたのである。子供としては握りしめたお小遣いの10円20円で何を買うか思案するのもちょっとした楽しみだった。一巡し子供たちは再び散らばって遊び始めると紙芝居屋も次の場所へと移ってゆく。


そんなことなどいろいろ思い出されてました。使い方使われ方がわからないと恐らく素通りしてしまうモノも多いでしょう。


続いて向かったのは「まぼろし博覧会」

こちらは先ほどの「怪しい少年少女博物館」の姉妹館らしい。門の所に数日前にNHKで取り上げられたという立て看板が掲げられていた。丁度今回の企画で行く直前に偶然見ました。なんというタイミングの良さか、お陰で事前に雰囲気を掴む事が出来ました。
ここは以前観葉植物園だったところを利用していて敷地はかなり広い、「怪しい少年少女博物館」に置ききれなかった物が置かれたり、新たなコンセプトでコーナー作りが成されているようで興味深いところも多かった。あまりに広く紹介するのは大変なのでこちらも動画を参考にして欲しい。 また更に詳しく説明している動画もあるようなので興味のある方は検索してみるのもありかと。
一見すると単にガラクタを集めてゴチャゴチャ展示しているだけと思う方もいれば、何時間も掛けてそこからのメッセージを受け取ろうとする方もいらっしゃるようです。そこには高校や大学の文化祭のような雰囲気も漂いますが、入場料1200円の価値感は人それぞれと言うのがしっくりくる気がしました。こちらも時代的には昭和がメインですが、(時々イレギュラーも有る) 高価な物を展示するより時代背景に見合った生活や流行に直結するリアルなモノや情報の展示をしている、そして時の流れと共に朽ちてゆく、それすらもコンセプトとしてあえてそのままにする。そんな現代から見れば非日常を見聞できる博物館と言えるかも知れません。


閉館するテーマパークだったり美術館、ストリップ劇場や映画館などから譲り受けたり、個人の収蔵物など様々な経緯で無数の物が置かれている。


その時代を知る者と知らない者ではきっと受け取るメッセージが異なるでしょうが、移動・通信・情報・物流など進歩は目覚ましく、暮らし安く便利になったはずなのに、嫌なことに目を背けるようにして生きている自分には単なるノスタルジックではない心のサプリメントとして残った。
「怪しい少年少女博物館」では一瞬「正直来ずとも良かったかも」と思った、しかし、「まぼろし博覧会」に来て見ているうちに徐々に印象が違ってきた。ばかばかしかったり懐かしかったり、驚きだったり、展示されているモノが現役だった頃の姿や背景までも容易に想像できる。学生運動のコーナーでは機動隊の放った催涙弾で目が痛かったことを想い出したり、子供の頃、こぼれ落ちた玉を拾いにこっそりタバコ臭いパチンコ店に入った、そこでは鷲掴みにした玉をひとつひとつ台の穴に入て弾き続ける大人達の姿があった。


ひと回りしてくるとかなりのボリューム感で満腹気味。全体的に埃っぽい印象は否めませんが、トイレは綺麗で清潔感が有る、この辺りも展示スペースとの違いを表すこだわりのように感じた。

文化的に評価の高いアート作品や歴史的宗教的なそれらを展示する博物館が多いが、このような博物館が存在しても良い気がした。
ここは自ら関心をもって来るならともかく、私が「ここは面白いよ」と人に勧めることは多分しないだろう。 でも、時間をおいてまた訪れてもいいかなと今私は思う。(笑)