潤活日記

超還爺のサイクルライフ

ブルベ(Brevet)って?

このブログで良く出てくる「ブルベ」についてお話しさせてください。
「ブルベ」というのは自転車の長距離サイクリングイベントのことです。世界一の自転車イベントのツールドフランスが行われ自転車愛好家が多いヨーロッパでも盛んに開催されています。

 

ブルベは仏語で認定という意味で、完走を果たせばACPというフランスの世界的自転車クラブ団体がそれを認定してくれるというもの。見返りなどありませんが、認定されることは長距離ライダーにおいては一種のステータスになるのかも知れません。とは言うものの大げさなものではなく、決められたコースを時間内に走る自転車の旅と思っていただければよいかと。 通常のブルベは200・300・400・600kmそして1000kmとそれぞれの距離のものがあり、決められた一般道のオープンコースを走りそれぞれ13半~40時間そして75時間内に完走を目指すものです。 
参加者には様々な決まりが課せられます。例えば反射ベストの着用、自転車に付けるライト類の種類と数、保険加入の義務に当然ながら交通ルールの厳守などなど。マラソンのように専用ルートの確保やサポートはありません。安全を最優先に大人として自己責任・自己完結で全て行うイベントがブルベです。
よく誤解されるのですが、ブルベはレースのように順位やタイムを競うものではありません。最初にゴールしても最後にゴールしても同じ扱いです。というより時間を有効に使って自転車旅を楽しむ余裕こそ安全には必要だと思います。
この数年で女性の参加者が急増、周りにも国内外で走る女性ライダーが何人もいます。

【ブルベ】自転車で600キロ BRM417千葉600 チーバくん
まずは予め公開されたルートを検証してみましょう。200Kmを例にとりますと、距離は短くても全体的に平坦なコースなのか厳しい登りの多いコースなのかで完走できる可能性が変わってきます。下のコースは左が200キロ走って坂を登る量が1300m右が5000mです。無茶は禁物なので脚力や体力に合わせて完走を目指して参加コース選びをします。

次に走る地域やルートが魅力的かどうか? ブルベは日本中で開催されています。例えばしまなみ海道を通るルートや琵琶湖を回るコース、美しい海岸線や見晴らしの良い山岳コースなど沢山あり、こうしたこともコースを選ぶ楽しみがあります。そしてそのルートを頭に入れてゆきます。今はGPSでナビしてくれるガジェットを使う人がほとんどですが、キューシートという次に何処を曲がるかと指示されたものを見たり、ルートが覚えられればそれでOK。決められたチェックポイントを時間内に通過するなどルールにしたがって走る訳です。

以上がブルベというイベントの概略です。
でも私がハマっているところは完走までの全てのプロセスです。

例えば400km(27時間)以上の距離は丸一日を超えますので、ただ走るだけでなく制限時間には「時間のやりくり」が生じます。常に走っている状態が続くので、飲食などエネルギー補給や休憩・睡眠時間の確保とタイミングも自ら決めなければなりません。
注意が必要なのは2つ、①ハンガーノック、これは経験がありますがガス欠のようにエネルギー切れで走れなくなったりペースがガタ落ちになる状態に陥るので常に気を遣いながら補給します。私の場合600kmで約2万2千カロリーを消費しました。次に②睡眠不足。疲労に加え睡眠不足に陥るとコントロールがきかなくなってきますし走行自体が危険になります。疲労がピークに達すると幻聴や幻覚と向き合うことになります。1000キロチャレンジの際、3日目の夜、誰も居ない道なのに横を一緒に走りながら声をかけてくるライダーがいたり、夜中田舎道を走っていると田んぼから突然人が飛び出してきて慌てて急制動をかけるなど、いずれも睡眠不足がもたらす幻覚で極めて危険な状態。眠たくて寝たい、でも前に進まなくてはという自分自身との戦いが続きます。ただそれらはまるで夢の中にいるようなふわふわした不思議な体験でもありました。

     

ブルベは基本個人参加ですが、参加者同士で助け合うことは結構ありますし認められています。あるとき夜間に豪雨の中走っていると機器が故障しルートを見失い、進むことも棄権をすることも出来ず途方に暮れていたとき、ほかの参加者に導かれなんとか完走できたことがあります。また逆に機材トラブルを起こしている参加者に協力するなど、競争ではないだけに助け合いが生まれ、皆で完走を目指すところもブルベの特徴だと思います。


そしてスタート当日まで 交通の手配・宿泊のプラン作り、コースを調べ補給や休憩場所の確認、気候に合わせた着替えや装備の選択などなど、色々なアクシデントを想像したり対応策を模索したり、完走のために必要な様々な準備作業も夢中になれるほど楽しい事なのです。しかし、結構な確率で計画通りには行かず、「あらまぁ、今回はそう来たか・・・」てな感じで都度柔軟に対応することなんかも面白がっちゃってます。


ただ長い距離を走るだけではなく、全て自らの力だけで何処まで出来るかという、大げさに言えば非日常のロマンがあり冒険ができるのがブルベ。完走した時の感動は勿論ですが、そこまでのドラマも楽しめるブルベの魅力が伝えられたらうれしいんですけどねぇ。


かなりの思い入れで書いてきましたが、趣味ってそんなもんですよね。「試しにチャレンジしてみない?」というと予想通り思いっきり引かれちゃいます。(笑)
お読みいただきありがとうございました。(^^)


以下も今までのブルベ動画の一部です。




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