潤活日記

超還爺のサイクルライフ

激坂ライド(多摩編)

自転車仲間がグループライドのために引いてくれた坂多めのコースを試走。
本当はみんなと行きたいけど予定があり今回はひとりで先に走ります。
とにかく私は坂が大の苦手、それに事前情報では凄い坂らしいので尻込みしてしまうが、こういう坂も登れないと何処へも行けなくなるし、自転車仲間とも走れなくなっちゃうので頑張ってトライしてみる。
関東平野の西部に張り出す多摩丘陵付近は、起伏があり坂登りが好きな自転車乗りの御用達感がある。しかし、私は全くわくわくしないしキツければ途中でやめちゃおうとはじめから退路をめいっぱい広げて最初の「いろは坂」へ。

ここはアニメの「耳を澄ませば」に出てくる坂らしい、登りはじめると比較的緩やかで、横に目を転じると「おお~」なんとも素敵な景色が広がっていて、確かに描かれそうな風景だ。更に大きく右に左につづら折りのカーブを登って行きたどり着いたのは住宅街、そこにはヨーロッパでよく見かける円形交差点ラウンドアバウト。こりゃあ益々おしゃれな感じ。(笑) 

最初の坂はウォーミングアップというところかな、問題はこの後か。
程なく次の「百草園坂」に到着、事前に写真で見ても凄そうだったが、さあてとどんな坂かな?「あっ、まてまて・・・」足が勝手に坂に向かって漕ぎだした、まずは心の準備をしないと・・・と言う間もなく坂に突入、するといきなり目の前に壁が立ちはだかる、まあ良い、いつも通りダメなら降りて歩いて登るかそこから引き返せば良いなんて思いつつ「こんな坂歩いて登る?ここで生活している人たちは日常的にここを登っているんだろうが感服しちゃうなぁ、足腰も強くなりそう・・・」とひぃ~ひぃ~言いながら時速5キロ以下でいまにも止まりそうな立ち漕ぎ、上に見えるカーブを目指す、だがそこが終点ではないらしいのでもう一段気合いを入れて登らなければ。ここで足を着けばもう登ることは出来ない雰囲気、カーブを曲がりいざ~!と思いきやその先20メートルの所に先着のライダーが見えた、近づくとそこはゴールだった、ろくな挨拶も出来ずにただゼーゼー言ってうなだれた。 余談ですが、1年半前甲状腺癌の手術で喉の反回神経を切除したお陰で声は出ないし気道が普通の人と比べて半分塞がっているのでメチャクチャ息苦しいのです。それでよくスポーツ自転車なんか乗ってるもんだと自分でも感心してしまいます。

ようやく息を整えて登ってきた坂を下ります。普通にロードバイクの乗車姿勢だと前につんのめるので体制を低く重心を後方にお尻をめいっぱい後ろに突き出して降りて行きます。



さあ、いよいよ自分的には本日のラスボス、通称「高幡不動ガスト坂」です。

情報では百草園坂と双璧らしいがこっちの方が厳しいと踏んでいる。覚悟していざ、ん!?普通の坂じゃん、この先きか?と長い坂を登ると道が細くなってきた、「結構登ってきたのにここから激坂なのか?」更に先に進んで行くとなんか頂上っぽい。
そこから急な下り坂、だんだん斜度が厳しくなり「うわ~っ」途中で止まればそのまま転がり落ちてしまいそうな下り坂「なんじゃこりゃ~」 緊張感でハンドルを握る手に汗がにじむのが分かった。

それまでの登りで熱くなっていた体は一気に冷やされて程なく緩やかな直線になり下りきって安堵する。だが目に飛び込んできたのは ”ガスト” えっ!あれ? ま・さ・か!、まさかじゃなくてこの坂こそが 高幡不動ガスト坂だった。と言うことはコースを逆に回ってた。じゃあここを登るのか?。え~~~っ、振り返って見上げれば私的には百草園坂の比ではない。「あっ、終わり終わり、今日はこれでもう帰る」と登ることを諦めるどころか端から登り返す気にすらならない。しかも坂のガードレールの向こう側に見える歩道はなんと階段になってるじゃん。さあ、とっととこのまま下の道を通って帰ろうと脳は判断するのだが、いくつか坂を登ってきた体は坂に対して麻痺してるのか壊れちゃってるのか勝手にUターンし始めた、おいやめろ!よせ!正気か~~~っ!、ということでもう足が坂を登りはじめている。そしてすぐにギアを一番軽いものに変速し踏み込むとハンドルが一気に手前に突き出てくる感じで自転車の前方が持ち上がる。ふん!もう斜度がいくらとかどうでもいいや、ヤケクソだ、退路だの無理ならやめようなんてことすら考えてる余地はなかった、歯を食いしばり息を止め自転車はフラフラ右に左に蛇行、眉間にしわを寄せ目の前はクラクラ、全身のパワー全開で時間にして2・3分だろうか、途中階段歩道が恨めしく目に飛び込んでくる。夢中で登るうちに何とか最も厳しい区間を登り終えた。

さっきここを降りてくるときすれ違った工事現場前のガードマンが、決して自転車乗りには見えない体型のおっちゃんが「ここを登ってきたのか?」という希有な視線を向けた。まあ「おっちゃんじゃなくて爺さんなんだけどね」と視線を返して最後まで登りきって先ほどの頂上へ。 すると苦しさも忘れ目を細めながらニヤニヤ、「フン!この私が登れるんだから大したことないじゃん」とやけにテンションが高い。なんか危ない感じ、なるほどこれがクライマーズハイなのか?(笑) もうどうにでもなれって感じなんだろう。

と言うことでコースに組み込まれた激坂のミッションをどうにかコンプリート。なんか気分が晴れやか、気持ちが良くて体も調子良い。いつもなら疲れてぶつぶつ言いながら走る登り坂も鼻歌が出そうな感じで爽快感と満足感に包まれて帰宅しました。